ロバートが書いた論説を訳してみました。
ロバート・ダウニーJr.: 地球のために発見を加速させる方法はこれだ
俳優とその共著者は、独占エッセイの中で、科学資金が破綻していると述べ、独自の”fast grants”を立ち上げている。
※fast grantsとは……科学研究に資金を提供するアメリカの慈善団体。このプロジェクトは、パンデミックに役立つ可能性のある研究プロジェクトに取り組んでいる科学者に迅速な資金を提供するために、COVID-19パンデミックに対応して作成された。（wikiより）
もし、「官僚的逆境を克服するノーベル賞」があるとしたら、誰が受賞するかわかりますか？カリコー・カタリンです。COVID-19ワクチンの開発につながったmRNAの特性に関する研究に対して、数十年にわたりほとんど何の支援も受けずに耐えてきた彼女の話は、科学の枠を超えたものでした。それは、情熱的な科学者や探究心を持つ人を見つけ、それを育てるという、現在の科学機関の盲点を露呈しているのです。
我々は、カリコーの話から何を学び、次の輝かしい頭脳や画期的なアイデアを静かに失わないようにできるでしょうか？
これは仮定の問題ではありません。緊急の問題なのです。パンデミックによる科学的成果への影響に関する初期の調査によると、新しいプロジェクトが過去1年間に著しく減少しており、特に若手研究者の間で顕著であることが示されています。ひどいタイミングです。気候変動がもたらす課題は、すべての科学者を勇気づけることであり、彼らを萎縮させたり見過ごしたりすることではないのです。
もし我々が本当に地球をネット・ゼロ・エミッション（←日本語だと、カーボンニュートラル）にしたいのなら、電力の生産と消費の方法を変革する必要があります。より効率的な新しい輸送手段や、森林破壊に頼らない食料供給が必要です。気候変動に配慮した農業と、生態系を保護するためのより良い方法が必要です。既存の温室効果ガスを回収・除去しなければなりません。効率化のための絶え間ない反復が必要です。これらすべてにおいて、適切な問題に取り組む最高の頭脳が、しかも迅速に必要なのです。
残念ながら、既存の科学機関の大きな欠点があるとすれば、それはスピードです。パンデミックの初期、研究者たちがCOVID-19を理解し、対応策を試すために急いでいたとき、外部の篤志家たちが新しい疑問やアイデアに素早く対応するための資金を提供する”Fast Grants”を立ち上げたのです。このプログラムは、単にプロジェクトに資金を提供するだけでなく、より効果的で官僚的でない科学者支援の方法があることを示したのです。
新しいワーキングペーパー”Funding Risky Research（リスクの高い研究に資金を提供する）”があり、第一線の科学経済学者がハイリスク・ハイリターンの研究を支援するための現在の資金提供体制の課題について概説しています。著者らは、カリコーの話を深く掘り下げ、この問題を解決するためのアイデアや努力に関する文献レビューと照らし合わせています。この論文は、代替となるいくつかの事例と、さらなる実験の必要性を訴えて締めくくられています。残念ながら、主要な科学研究費助成機関は、ジレンマに悩まされているようです。
リスクの高い研究に資金を提供するには、まずリスクの高い新モデルに賭ける必要があります。科学的才能の漏出を食い止めるため、我々のチームは新しいプログラム、FootPrint Coalition Science Engineを立ち上げています。
我々は起業家精神旺盛な科学者を支援するビジネスを展開していますが、その大きな阻害要因は委員会による意思決定の明らかな限界であるという点で一致しています。我々は、これまでとは違うことをしようとしています。FootPrint Coalitionは、全く新しい環境分野の初期研究に資金を提供し、迅速に行動し、自らの裁量で資金を提供できる尊敬すべきサイエンスリーダーの指揮の下でそれを行っているのです。FootPrint Coalitionのサイエンス・エンジンは、Funding Risky Researchの論文で行われた提案を基に構築されています。これは”loose-play funding for early-stage risky explorations（初期段階のリスクの高い研究に対する緩やかな資金援助）”を運用するもので、大学などに縛られるものではありません。
科学研究プロジェクトのクラウドファンディングサイト”Experiment funding”のプラットフォームで「公開」してやっているので、誰でも共同出資者として参加できます。
これは、重要な研究分野での実験です。ここでは、最初の5つのカテゴリーと、それぞれの分野を率いるサイエンス・リーダーを紹介します。
先住民の知識は、人類と自然界との関係を再構築する鍵を握っています。ケオル・フォックス博士は、正しい問いを立て、その知識を行動に移す先住民の研究者や革新者に力を与えるため、先住民未来プロジェクトに資金を提供しています。
大気、水、土壌汚染の影響は、低所得の黒人、先住民、有色人種（BIPOC）に偏って及んでいます。メリーランド大学の准教授であるサコビー・ウィルソン博士は、汚染と気候変動の影響を最も受ける地域に科学と研究を導入するため、地域科学と環境正義プロジェクトに資金援助を行っています。
新しいバイオテクノロジーは、科学者が生態系を理解し、監視し、時には介入する方法を変えようとしています。Revive & Restore社のリーダーであるブリジット・バウムガートナー博士とライアン・フェランは、これらの新しいツールを活用した保全バイオテクノロジー・プロジェクトに資金を提供しています。
細胞農業とは、肉、牛乳、卵などの農産物を、動物を丸ごとではなく、細胞培養物から生産することです。ニューハーベストのエグゼクティブ・ディレクターであるイシャ・ダタールは、この技術を推進するプロジェクトや、細胞農業の社会的、経済的、政治的側面を探求するプロジェクトに資金を提供しています。
人工知能は、我々が自分でできるよりも早く、次の大きなブレークスルーを見つける手助けをしてくれるかもしれません。MITの博士で起業家のジェームス・ワイスは、この仮説を実行に移すために、機械学習アルゴリズムの助けを借りて見過ごされている研究に資金を提供しています。
COVID-19のファストグラントは、我々に道を示し、リーダーシップはどこからでも生まれることを証明しました。FootPrint Coalition Science Engineは急進的な参加のために設計されています。ご招待します。
科学はパンデミックに対応して急速な進歩を遂げました。今こそ、科学が地球のために同じことをできるように、資金調達モデルと支援システムを構築しましょう。
ロバート・ダウニーJr.は俳優、活動家、Footprint Coalitionの共同設立者である。デビッド・ラングはエクスペリメント財団の代表。
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